企業の労務環境向上・整備を目的に、国などの公的機関はさまざまな助成金制度を設けています。さまざまな助成金制度の中から、当オフィスがおすすめするものをピックアップしました。
(2012年7月現在)
中小企業緊急雇用安定助成金
業績不振などの理由でやむを得ず従業員を休業させる場合、賃金補償の助成を行う制度です。教育訓練を実施する場合は支給が上乗せされます。
支給条件
- 直近3ヵ月の売上平均がその直前3ヵ月と比較して5%以上ダウンしていること
または、前年同月と比較して5%以上ダウンしていること
あるいは、直前の決算を赤字申告していること - 従業員を休業させ、その休業日に60%以上の賃金を支払うこと
- 休業を実施する前に計画を提出すること
助成される費用
会社の平均賃金×4/5(条件を満たすと9/10)……1日の単価
1日の単価×休業日数=助成金額
(1日の上限金額 7,890円(平成23年8月1日現在))
支給限度日数は3年間で300日です。教育訓練を実施する場合は、訓練費として1日1人あたり6,000円が上乗せされて支給されます。
トライアル雇用奨励金
雇用のミスマッチの解消を目的に、試用期間中(最大3ヵ月)の給与の一部を国が負担する制度です。ハローワークへの求人登録で雇い入れることが条件です。
対象労働者
- 45歳未満の若年者
- 45歳以上の中高年齢者
- 母子家庭の母等
- 障害者
- 日雇労働者・ホームレス
※上記の方を試行的に雇い入れた事業所に対し、助成金が支給されます。
手続きの流れ
- ハローワークへトライアル雇用用の求人登録
- トライアル雇用紹介・面接・採用
- トライアル雇用実施計画書の提出(雇入れから2週間以内)
- トライアル雇用の終了
- トライアル雇用結果報告書の作成及び奨励金支給申請
※トライアル(試用)雇用期間は原則3ヵ月となります。
奨励金の支給
トライアル雇用を実施する事業主には、トライアル雇用を実施する対象労働者1人につき、月額40,000円が最大3ヵ月間支給されます(トータルの上限は120,000円)。
特定求職者雇用開発助成金
就職が困難とされる方を雇い入れた事業所に対し、給与の一部を国が負担する制度です。申請には一定の要件を満たす必要がありますのでご注意ください。
制度の概要
「対象労働者」のいずれかの要件を満たす方を、ハローワークまたは一定の要件を満たす民間職業紹介者の紹介で雇入れた事業主に対し助成金を支給します。
対象労働者
- 60歳以上の方
- 身体・知的・精神障害者
- 母子家庭の母等
- 中国残留邦人等永住帰国者
- 手帳保持者(炭鉱・沖縄・漁業等)
助成金の支給
対象労働者 (一般被保険者) |
支給額 | 助成対象期間 | |||
---|---|---|---|---|---|
大企業 | 中小企業 | 大企業 | 中小企業 | ||
短時間労働者以外 | 高年齢者(60歳以上65歳未満) 母子家庭の母等 |
50万円 | 90万円 | 1年 | 1年 |
重度障害者等を除く 身体・知的障害者 |
50万円 | 135万円 | 1年 | 1年6ヵ月 | |
重度障害者等※1 | 100万円 | 240万円 | 1年6ヵ月 | 2年 | |
短時間労働者 ※2 |
高年齢者(60歳以上65歳未満) 母子家庭の母等 |
30万円 | 60万円 | 1年 | 1年 |
身体・知的・精神障害者 | 30万円 | 90万円 | 1年 | 1年6ヵ月 |
※1……重度身体・知的障害者、精神障害者、45歳以上の身体・知的障害者
※2……週当たりの所定労働時間が20時間以上30時間未満の者
中小企業基盤人材確保助成金
創業して社員を雇ったとき、給与の一部を国が負担するという制度です。1人からでも助成対象となりますが、社員を雇い入れた後での申請はできないため注意が必要です。
支給条件
- 創業または異業種進出から6ヵ月以内に改善計画を提出
- 2年間以上の労働保険料の滞納がないこと
- 過去3年間に助成金の不正受給がないこと
- 過去6ヵ月間に会社都合離職者がいないこと
- 創業または異業種進出に対し250万円の経費を支出していること
(設立日または異業種進出日以降の支出に限る)
支給の対象となる労働者数
- 基盤人材 ⇒ 1人以上5人以下
※基盤人材とは以下のいずれにも該当する者です
- 次のいずれかに該当するもの
- 事務的・技術的な業務の企画・立案、指導を行うことができる専門的な知識や技術を有する者
- 部下を指揮・監督する業務に従事する係長相当職以上の者
- 年収350万円以上(賞与等を除く)の賃金で雇い入れられる者
支給額
基盤人材については、1人あたり140万円(第1期70万円 第2期70万円)
※平成22年4月1日以降導入の事業所様につきましては、一般人材の助成が廃止されます。
受給資格者創業支援助成金
会社を設立(個人事業も可)したときに、設立時の資金の一部を国が負担する制度です。登記後(開業後)の申請は対象外なので、設立(創業)前に手続きをしてください。
支給条件
- 当該法人等の設立の日(法人の場合、設立登記日)の前日において受給資格者(※)であったものが設立した法人であること
- 創業受給資格者が当該法人等の業務に従事するものであること
- 法人にあっては、創業受給資格者が出資し、かつ、代表者であること
- 創業受給資格者の離職の日から法人等の設立の日の前日までの間に計画書を提出
- 当該法人等の設立日から起算して1年を経過する日までに従業員を1名以上雇入れ、雇用保険の適用事業所の事業主となっていること
(※)受給資格者については、その受給資格に係る離職の日における雇用保険法の規定による算定基礎期間が5年以上であり、かつ、失業給付の残日数がある場合に限る。
助成される費用
設立後3ヵ月間に使用した経費で以下のもの
- 法人設立に関する事業計画作成費
経営コンサルタント等の相談経費(雇用管理に係る相談経費を除く)等 - 職業能力開発経費
事業を円滑に運営するために必要な役員及び従業員に対する教育訓練経費等 - 労働者の雇用管理の改善に関する事業費
就業規則作成等 - 設備・運営経費
事務所の工事費・設備・備品・事務所賃借料(3ヵ月が限度) ・広告宣伝費等
※支給対象経費の合計額に3分の1を乗じて得た金額で150万円を限度として支給されます(経費は600万円が対象限度額となります)。
※平成22年4月以降に計画を提出した場合は、150万円が上限となります。更に従業員を2名以上雇入れた場合は50万円が上乗せ支給されます。